『ぼくだけがいない街』感想

 全巻読みましたが,面白かったです.この本の魅力を一言でいうと,

“私たちが家族愛や友情に生かされていることの再確認ができる漫画”です。

 

 この漫画は,現代で起きた悲劇を回避するべく,主人公が過去に戻り奮闘するというストーリー構成です.タイムトラベルものの弱点である時系列の分かりにくさが全くなく,シンプルでテンポの良い作品に仕上がっています.私は多少難解なシーンであっても一定のテンポで漫画を読む癖があるので,シンプルさというのは非常に重要な要素です.

 

 私はこの漫画を通じて,歩みを止めないことの大切さを学びました.

 主人公は母親の殺害から物語の完結まで,事件解決に向けての歩みを一度も止めません.途中くじけそうになったときにも仲間を信じ,一人では成しえなかったであろう解決方法で悲劇を回避していきます.

 この漫画の良いところは,主人公が最初から完ぺきではないこと.最初は一人で問題を抱え込んでいますが物語の進行とともに仲間を巻き込んでいきます.このような姿が自分一人でどうにもできない問題を抱え込んで立ち止まってしまう自分と重なり,感情移入ができました.

 

 以上が本作を読んだ私の感想です.この作品は,自分を責めて歩みを止めてしまいがちな人に読んでほしいと思います.きっとあなたの心に響き,生きる希望をもらえると思います.  

 

 

 余談ですが,私は心から大学院に進学したいと思ったわけではありません.寧ろさっさと働いてしまったほうが自分は成長できるとすら思っていましたし,今でも少し思います.ですが,どんな場所にいようとも,どんな方向に進もうとも,一歩踏み出すことは私の人生の糧になると,最近は思うのです.無理は禁物ですが,学生・社会人の皆さんも自分を否定することなく歩み続けてほしいと思います.ありがとうございました.